筋トレした日は酒を飲んではいけないと言われます。
単純にアルコールが筋肉の成長に悪影響を与えるからだということでしょうが、これって本当なんでしょうか。
実際に僕も筋トレを週に2,3回している上に、お酒が大好きということもあって気にならずにはいられません。
調べれば調べるほど、アルコールが筋肉に好影響を与えていることはないようです。
つまり、悪影響しか出てこないのです。
結論から言うと、アルコールは筋肉の成長を阻害する要因ではあるけれど、適量を守れば別に飲んでもいいんじゃね?って感じになりました。
ボディビルダーを目指していない限り、そこまで気にする必要はないのかなと思います。
アルコールが筋肉の成長に及ぼす影響
アルコールは少なからず筋肉の成長を阻害します。
できれば飲まない方が良いのですが、仕事上の付き合いや多大なる会社からのストレスのせいあってそうもいきませんよね。
ということで、アルコールが筋肉の成長のどんな影響を及ぼしているのかを見ていくことにします。
たんぱく質の合成を妨げる
筋トレによって破壊された筋線維がさらに大きく修復されることによって、筋肉が大きくなると言われています。
限界まで追い込むことで、次に同じ現象が起こった時にクリアできるように生命維持のために筋肉が大きくなるなんてことも言われたりします。
要するに、たんぱく質の合成によって筋肉が作られていくと言うことです。
お酒を飲むとこのタンパク質の合成を妨げることになってしまいますので、筋トレとアルコールは非常に相性が悪いということができます。
70gのアルコールを飲んだら24%もタンパク質の合成が下がったとか(1)、下の図のようにタンパク質合成スピードを抑制してしまったり(2)とかなりの筋トレの効果を少なくしてしまうような結果になっています。
この研究では、運動後にアルコールを体重1キロあたり1.5gのアルコールを摂取しています。
体重60キロの人ならば、90gのアルコール量になりますのでそれなりに飲んでいる状態ということが言えます。
350mlのビールが一本あたり14gのアルコール量となりますので6,7杯程度飲んでいる計算になります。
人にもよりますが、これくらい飲んだら深酒と言えるレベルではないでしょうか。
うん、こりゃタンパク質の合成が下がってもしかないのかなとも思ったりします。
ちなみにアルコールとタンパク質を一緒に摂取するとアルコールと炭水化物よりも合成スピードはマシになります。
飲むときは焼き鳥が筋肉には優しいのかもしれません。
テストステロンが減少する
テストステロンは男性に多く見られる男性ホルモンの1つです。
もちろん女性からも分泌されています。
そして、このテストステロンが筋肉増加には欠かせないホルモンなのです。
テストステロンはタンパク質の合成を促してくれる大切な役割を担っています。
ある研究によると、体重1キロあたり1.5gのアルコール摂取に関しては23%テストステロンの減少が起こり、1.75gに増やすと27%減少するというような結果が出ています。
正常化するまでには36時間程度を要するので、飲んでからも1日以上影響が残ってしまいます。
しかし、1キロあたり1.5gを下回るアルコール摂取に関しては影響がなかったり、若干上がったなどの結果も出ています(3)。
どちらにせよ、筋肉成長にプラスに働くことはないようなので、こちらも筋肉に悪影響を与える可能性の方が大きいと言うことができそうです。
コルチゾールの分泌量を上げる
コルチゾールはストレスホルモンとも言われています。
血圧を上げたり、免疫力の低下をもたらしたりする一方で血糖値を上げて低血糖を防いでくれたり、短期記憶を高め、体内から毒素を取り除くために働いてくれたりします。
必ずしも悪いとは言えないのですが、筋肉成長にとってはマイナスです。
コルチゾール値が高いと筋肉の合成を妨げ、分解を促してしまうのです。
そう、アルコールを摂取するとコルチゾールが上がってしまうので悪影響を及ぼすということができます。
下の図のように、体重1キロあたり1.75gのアルコールを摂取するとコルチゾール値が大幅に上昇するという結果も出ています(4)
1.25g以下だとあまり変わらないようですので、飲みすぎなければ大きな影響はなさそうですね。
その他のデメリット
この他にも筋肉成長に伴うデメリットは多々存在します。
脱水・ビタミンB1や亜鉛の不足・睡眠の阻害など大きな影響を及ぼすことになります。
脱水
お酒を飲むと利尿作用が働きますので水分が体から抜けて行ってしまいます。
大量にお酒を飲んだ次の日に体重が減ったということはないでしょうか。
これは単純に水分が抜けているだけと思われます。
ですので水分をしっかりと補給すると体重はしっかりと戻ります。
そもそも体の水分が少ないと筋力の低下、持久力の低下を起こしますのでパフォーマンスが上がらない問いった事態になりますので水分はしっかりとって筋トレを行うことが大切です。
脱水が起こると血流が悪くなりますので体にも負担をかけてしまいます。
ビタミンB1・亜鉛不足
アルコールを摂取することでビタミンB1や亜鉛が不足してしまうことがあります。
アルコールを分解するためにビタミンB1や亜鉛を必要とします。
さらにビタミンB1はエネルギーに変換する際にも必要とされます。
アルコールを摂取すると代謝の過程でビタミンB1と亜鉛が使われてしまうのです。
糖代謝にもビタミンB1が使われますので、ビタミンB1が枯渇していますと糖代謝がうまく働きません。
筋トレ中のエネルギー不足はもちろんのこと、タンパク質をエネルギーとして活用してしまうことすらありますので不足の状態は筋肉成長にとって望ましくありません。
また、亜鉛は筋肉の修復や新陳代謝に関わってきますので不足しているとパフォーマンスや回復に大きな影響が出てきます。
睡眠の阻害
アルコールは睡眠の質に影響を与えます。
お酒を飲んだ時は寝つきは良くなりますが、夜中に何度も起きたりぐっすり眠れなかったりといった経験はないでしょうか。
これはアルコールを分解するために深い眠りであるレム睡眠が阻害されてしまうからです。
睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返していますが、レム睡眠が阻害されることによって深い眠りにつくことができなくなるということです(5)
アルコールによって睡眠の質が落ちるということは、深い眠りにつくことができずに体を休めることができないということです。
体を休めることができないと筋肉の修復にも影響が出ますので、お酒の飲み過ぎは悪影響を与えるということができます。
どれくらいなら飲んでもいいのか
筋肉成長において、飲まないに越したことはないのですが、そうはいかないと思います。
急に上司から誘われて飲み会になったり、ものすごいストレスを急に抱えてしまったりとか。
サラリーマンならありがちなことだと思います。
とかは絶対に言うことができないのが現状です。
結果として、行きたくなくても飲みに行かざるえない状況だってあるのです。
行きたい日だってあると思います。
では、実際にどれくらいなら飲んでも良いのでしょうか。
少量なら飲んでも影響ないかも
いろいろな研究結果がありますが、基本的にたくさん飲んだら筋肉合成に悪影響をもたらしますよって話です。
しかし、たくさんでなければあまり影響がないようです。
筋肉合成速度に影響を与えない限度はどれくらいなのかっていう研究がありますのでご紹介します。
この研究によるとアルコール量が71gでは筋肉合成速度に影響が出まくったけど、28gだとほとんど影響がなかったという結果が出ています(6)
また、テストステロンも1キロあたり1.5gを摂取しなければほとんど影響が見られないし、コルチゾールも1キロあたり1.25gを摂取しなければ影響は少ないように見えます。
しかし、3週間毎日30~40gのアルコールを摂取すると結果的に約7%のテストステロンが低下したとの結果もありますので慢性的な飲酒にも影響があるかもしれません(7)。
結論としては、28gまでなら摂取しても筋肉成長には大きな影響を与えなさそうと言うことができます。
しかし、こちらは海外の研究結果なので日本人よりも体が大きい可能性がありますのでそれよりも少ないに越したことはありません。
ちなみに厚生労働省が推奨している適酒の目安は1日あたり20g程度となっています(8)
28gだとすると350mlのビールが2本という計算になります。
これくらいなら飲んでも大丈夫そうです。
終わりに
確かにアルコールを大量に摂取することで筋肉成長には悪影響を与えます。
しかし、厚生労働省が推奨している適量ならば影響がほとんどないと言うことが言えます。
また、多くの専門家がボディビルダーを目指していないのであれば、少しのアルコールならば気にする必要はないと言います(9)。
確かに筋肉が自分にとって一番であるのであれば少しでも影響があるアルコールは避けるべきだと思いますが、多くの人にとってそうではないと思います。
マッチョでも酒飲みって人も結構いますからね。
もちろんお酒の飲み過ぎは健康にも良くありませんので避けるべきでしょうが、適度な飲酒までやめなくても良いのかなと思ってます。